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化学放射線療法の成績は手術に匹敵
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食道がんは,これまでは手術が第一選択とされ,放射線療法は患者の体力がない場合や,手術が不能な進行がんに対しておこなわれていました。
しかし,最近では,抗がん剤と併用する化学放射線療法の有効性が証明され,手術と同等の生存率が得られることがわかり,手術可能な人に対しても,手術ではなく,化学放射線療法が選択されるケースも増加しています。
放射線化学療法を併用する場合,化学療法の後に放射線治療を追加する方法と,両者を同時に行う方法とがあります。
この両者を比較してみると,同時に行なう方法が効果が高いということが,あきらかになっています。
そこで,外部照射を行なうと共に,フルオロウラシルやシスプラチンなどの抗がん剤を使用します。
ただし,この化学放射線療法は,がんの殺傷力が高いだけに副作用も強くでる場合が多いといえます。
特に,心臓障害や放射線肺臓炎など,生命の危険に関わる場合もあり,注意が必要です。
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患者にとって,負担が重く,術後のダメージも大きい食道がんの手術
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食道がんの手術は,患者にとって,たいへん負担が重いだけでなく,手術後に亡くなったり,術後の後遺症が重かったりと,手術による身体的な負担が大きく,QOLの低下も深刻ながんです。
肋骨を切断し,胃の一部と食道を摘出し,残った胃を食道のほうに引き上げて代用食道を作ります。
さらに,リンパ節も,首,胸,腹部の広い範囲でとり除くため,手術は8時問にも及びます。
術後の痛みでうまく呼吸ができない患者も多く,手術直後は人工呼吸器を使って呼吸管理を行います。
このような大手術は,肺炎,心不全,神経麻痺などの合併症が起こることもあります。
手術後1力月以内に患者が亡くなる確率は3~10パーセントとたいへん高く,手術の5年生存率は30パーセント程度です。
最近では,胸腔鏡を胸の中に入れて行う胸腔鏡下手術が行われるようになり,以前より負担が軽くなったとはいえ,術後のQOLの低下は避けられません。
たとえば,声を出す神経の麻痺で,声がかれる,むせやすくなる,また,胃酸が逆流するといった後遺症に多くの人は悩んでいます。
このような不快な症状が起きない食道がんの放射線療法のメリットは大きいと考えられます。
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すべての病期で可能な食道がんの放射線療法
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放射線治療は,0期~Ⅳ期のすべてで選択が可能となっています。
0期は内視鏡治療が可能です。ただし,腫瘍の範囲が広く,内視鏡で対応しきれない場合は手術で切除します。
がんが粘膜層にとどまっている場合には,腔内照射だけで根治可能なケースもあります。
標準治療ではⅠ期は手術単独であり,Ⅱ~Ⅲ期は術前化学療法+手術が標準です。
Ⅰ期では,手術ではなく,放射線療法が選択されるケースも増えています。
Ⅱ期・Ⅲ期では,手術が体力的に困難であったり,患者が手術を希望しない場合,治癒が期待できる根治的照射が行なわれます。
手術で取り切れなかったがんや手術後の再発にも,術後照射が行われ,あるいは手術後の再発に対しても外部照射が行なわれています。
Ⅳ期では,他臓器や離れたリンパ節への転移が認められるため,手術は行われず,化学療法や化学放射線療法がおこなわれます。
がんのために食道の内腔が狭くなり食事がとれない場合など,緩和的照射がおこなわれます。
放射線療法で,多くみられる副作用には,口内炎や食道炎,骨髄抑制,肺炎などがあります。
まれに,食道からの出血や食道潰瘍などが起こることもあります。
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食道がん治療には適したな陽子線治療
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食道がん治療において,確かに,化学放射線療法は,手術に匹敵するといわれいますが,副作用が強い面もあります。
さらに,付近の心臓や肺へも影響し,心臓障害,放射線肺臓炎が起きることもあります。
他のページでも紹介していますが,陽子線は,腫瘍内部でエネルギーを放出し,その後消失しますので,付近の臓器にも影響を与えず,治療効果が高いことが特徴です。
しかも,抗がん剤の力をかりずに,単独で根治が目指せる治療法といえます。
この陽子線治療に携わっている医師の中には,「この治療は10年後には必ず,標準になる」と語る医師もいるほどです。
ただし,費用は300万程度と高額出費を覚悟しなければなりません。
また,重粒子線治療に関しては,放射線医学総合研究所重粒子医科学病院が,「臨床病期I期胸部食道癌に対する炭素イオン
線治療の第I/II相臨床試験」という臨床試験を実施中です。
この治療を受けるには,いくつかの条件がありますので,適応になるかどうかは,陽子線治療を実施している施設に,問いあわせてみてください。
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