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子宮頸がんに有効な放射線療法 |
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子宮がんには,子宮の入り口にある子宮頸部にできる子宮頸がんとその奥にある子宮体部にできる子宮体がんとに分けることができます。
子宮頸がんは20~40歳代に多く発症し,子宮体がんは50~60歳代に多く発症しています。
子宮頸がんの原因の一つとして考えられているのが,性行為によるヒトパピローマウィルス(HPV)の感染です。
一方,子宮体がんでは,女性ホルモンのエストロゲンに長期間さらされていると発症のリスクが高くなるとされています。
したがって,初潮年齢が低かったり,閉経年齢が高かったり,出産経験がない人などは発症リスクが高くなります。
また,肥満の人は閉経後は卵巣からは分泌されないエストロゲンが脂肪細胞から分泌されるため,子宮体がんの発症リスクが高くなります。
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子宮頸がん
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子宮頸がんの治療において,Ⅰ期,Ⅱ期の生存率は手術でも,放射線療法でも,ほとんどかわらないことがデータから立証されています。
しかし,日本ではⅡ期までは手術し,Ⅲ~Ⅳ期は放射線治療という方法が一般的な治療法として普及しています。
ところが,欧米ではⅡ期までは,放射線治療を行うことが普通になっており,さらには遠隔転移のないⅣA期までが,根治を目的とした放射線治療の対象となり,日本とは大きく異なっています。
子宮全摘手術では,リンパ浮腫や排尿障害などの後遺症があらわれる場合があり,QOL低下のリスクがあります。
子宮頸がんの放射線治療でも皮膚炎や下痢など副作用がみられることもありますが,ほとんどが一時的なものであり,切除しなくてすむメリットは大きいといえます。
放射線療法には,身体の外から腫瘍に照射する外部照射法と,直接放射性物質を腫瘍のある部位にプラスチックの筒を通して挿入する膣内照射とがあります。
外部照射と腔内照射を併用する場合,骨盤への外部照射の途中から,腔内照射に切り替えます。また,早期のがんほど,腔内照射の比率が高くなります。
放射線治療とシスプラチンなどの化学療法との併用は,進行がんに使用されることが多く,副作用はありますが,高い治療効果を示しています。
また,手術後骨盤内リンパ節への転移などが疑われる場合には,術後照射をおこないます。
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子宮頸がんの副作用
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放射線療法の副作用には,早期の副作用として,直腸の炎症による下痢や出血,食欲不振,照射部位の皮膚炎,頻尿,排尿痛などがあります。
また,骨髄抑制とよばれる白血球,や血小板減少,貧血などがみられることがあります。
これらの多くは症状も軽く,治療終了と正常にもどります。
注意が必要なのは,治療後数ヶ月以内に起こる晩発性放射性障害と呼ばれるもので,腸の炎症による腸からの出血,潰瘍,狭窄,腸閉塞などです。
これらの症状がでたらすぐにに治療を受ける必要があります。
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子宮体がん
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子宮体がんの多くは腺がんであり,腺がんは扁平上皮がんより放射線感受性は低いといわれています。
子宮体がんの腺がんは,同じ腺がんのなかでも,感受性がよい方ですが,腔内照射は十分な線量が得られないこともあって,子宮頸がんのように放射線による治療はあまり期待できません。
したがって,すべての病期で手術による病巣部の摘出が中心となります。
ただし,合併症などで手術ができない場合には,早期でも,放射線治療や抗がん剤治療,ホルモン療法の併用療法がおこなわれます。
0期では単純子宮摘出手術が一般的ですが,妊娠を希望する場合は,子宮摘出は行わず,子宮内膜掻爬とホルモン療法で治療することもあります。
Ⅰ期~Ⅲ期は単純子宮全摘術,卵巣摘出,広汎子宮全摘術などが進行度に応じて行われ,必要ならば,骨盤内あるいは大動脈付近のリンパ節も郭清します。
Ⅳ期でも手術が可能ならば,拡大手術を行い,緩和療法として,放射線治療,化学療法,ホルモン療法を単独か併用して治療します。
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子宮体がんの副作用
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副作用は子宮頸がんと同じような症状がみられ,腸炎や皮膚炎,泌尿器の障害,骨髄抑制などがあらわれることがあります。
晩発性放射性障害では,潰瘍,狭窄,腸閉塞,頻尿,むくみ,血尿などがみられることもあります。
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