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転移性腫瘍の治療 |
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転移性脳腫瘍とは他の部位から脳に転移したものをいい, 脳転移を起こしやすいがんとして,肺がんや乳がんがあります。
転移性脳腫瘍は原発性脳腫瘍とは異なり,脳内の正常組織との区別が可能なため,ピンポイントで照射する放射線療法には適したがんといえます。
脳には血液脳関門があり,多くの抗がん剤はここでブロックされてしまうため,適応できる抗がん剤は限られてしまいます。
したがって転移性脳腫瘍における放射線療法の果たす役割は大きいといえます。
現在,この転移性脳腫瘍に対する放射線療法の臨床比較試験が進行中です。
これは,3cm以上の直径を持つ4個までの転移性脳腫瘍の最大径のものを摘出後,残存腫瘍に対する放射線治療の効果に関する比較試験です。
比較する対象は,放射線全脳照射を行うグループと,ガンマナイフなどの定位放射線治療を行うグループです。
この全能照射の是非は現在でも議論が分かれるところでもあります。
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転移性脳腫瘍
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転移性脳腫瘍は転移巣が一つならば,手術も可能です。しかし,開頭手術では,体力的にも負担がかかり,後遺症のリスクもあります。
脳腫瘍で有効な放射線治療の一つにガンマナイフがあります。入院期間も2泊3日程度であり,手術よりも大幅に短い日数ですみます。
ガンマナイフをさらに進化させたサイバーナイフも登場しています。
この治療装置は小型の直線粒子加速器リニアックをロボットアームに取り付け,様々な角度から腫瘍に放射線を照射するというものです。
ガンマナイフと異なり,頭部を金属で固定する必要がなく,ガンマナイフより分割照射ができるため,3cm以上の腫瘍にも対応できます。
さらには新世代ヘリカルCT型放射線治療機トモセラピーや,定位放射線治療機ノバリスも脳腫瘍には適応しています。
また,粒子が運動を停止する直前に最大のエネルギーを放出する陽子腺治療や重粒子腺治療は脳の深部に発生した,手術困難な脳腫瘍の治療に適しています。
一方,症状緩和を目的としておこなわれる放射線治療もあります。
脳転移の症状として頭痛,吐き気,痙攣,麻痺等があり,転移の部位,大きさ,数によって治療法も異なります。
単発で腫瘍径が小さい場合,定位放射線治療の適用となりますが,多発している場合は多くが全脳照射となります。
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脳腫瘍の放射線の副作用
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急性の副作用としては,照射部に脱毛がみられるほか,めまい,全身倦怠感,中耳炎などが起こることがあります。
脱毛に関しては,線量が多い場合,永久脱毛となることもあります。
また,放射線の影響で,脳がむくんだように腫れ,頭痛,吐き気・おう吐,けいれんなどが起こることがありますが,症状は軽いことが多く,多くは一過性です。
晩期性の障害で,注意しなければならないものが,放射線脳壊死であり,壊死した部位に応じた症状があらわれますが,重篤なものはまれです。
また,全能照射の場合,認知力の低下がみられることがあり,発症を防ぐためにも,線量を1回あたり,2.5Gy以下に抑える必要があるといわれています。
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