|
|
|
|
|
|
|
肝臓がんで有効な治療法は陽子線・重粒子線
|
|
|
肝臓がんは原発性肝臓がんと他の臓器から転移した転移性肝臓がんに分けることができます。
肝臓がんはC型肝炎による肝硬変,アルコールの飲み過ぎによる肝硬変などが原因です。また,脂肪肝から肝炎(NASH)となり,肝臓がんになることもあります。
肝臓は沈黙の臓器といわれるように,症状がでないことが多く,症状がでたときはかなり進行していて,肝機能も低下していることが少なくありません。
肝臓がんの治療には手術の他に,ラジオ波焼灼法,マイクロ波焼灼法,エタノール注入療法,肝動脈塞栓法,肝動注療法,放射線治療など多くの選択肢があります。
この中で最も根治性が高いのは手術ですが,放射線療法は肝臓はあまり向いていないといわれます。
それは,肝臓は放射線に弱く,放射線により萎縮したり,肝機能が大幅に低下してしまうことが多いからです。
ですから,肝臓がんで切除できない場合やラジオ波焼灼法,エタノール注入療法などの局所療法でもあまり効果がみられない場合などに放射線治療がおこなわれるケースが多いといえます。
最近では,トモセラピーやノバリスと呼ばれる機器も登場し,ピンポイント照射が可能になり,肝臓がんの治療に用いられるようになりました。
大船中央病院ではこの肝臓がんに対する放射線治療を積極的におこない,全国の3分の1の症例をおこなっています。
|
|
|
肝臓がんの粒子線治療
|
|
|
すでに述べたように,肝臓がんの治療には放射線はあまり向いているとはいえません。
ただし,腫瘍内部で最大のエネルギーを放射し,その後消失する重粒子線や陽子線による治療は肝臓がんの治療にも効果を発揮します。
この治療法は局所制御率が90%と高いだけでなく,肝機能がある程度維持されていれば,5年生存率も50〜60%と手術と同等の成果をあげているといわれています。
肝臓の手術は出血も多く,高い技能が要求され,患者の身体的負担も大きなものがあります。
陽子線や重粒子を使用した粒子線治療は,通常の放射線療法より,照射回数が少なくてすむため,放射線に弱い肝臓がんには向いており,しかも患者への身体的負担が少ないメリットの多い治療法といえます。
副作用も少なく,肝機能が低下していても,重篤な肝障害はみられないと報告されています。
ただし,治療を受けるには,肝臓のがんが限局していることや,腫瘍が消化管から離れた場所にあること,肝臓以外に転移がなく,肝機能がある程度維持されているなど,いくつかの条件があります。
肝臓がんの陽子線・粒子線治療は現在稼働しているすべての施設で実施可能です。
|