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手足の温存を可能にした骨・軟部腫瘍の放射線治療 |
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骨・軟部腫瘍(こつなんぶしゅよう)とは骨にできた腫瘍と,骨よりやわらかい軟部組織(筋肉,脂肪組織,皮下組織,結合組織,末梢神経など)に発生する腫瘍をいいます。
これらの組織は全身に存在することから,骨軟部腫瘍はからだのどの部分からも発生する可能性があります。
この骨・軟部腫瘍には骨肉腫・ユーイング肉腫など様々なタイプがあり,治療法の細部はそれぞれのタイプによって異なります。
以前はがんのできた手足を切断することが多かったのですが,最近では手足の温存が可能になってきています。
現在では,腫瘍部の広範囲な切除と術前・術後の化学療法を併用することで,四肢を切断せずにすむようになってきました。この四肢を切断しない方法を患肢温存療法と呼んでいます。
放射線治療の目的は,通常の手術・化学療法だけでは四肢温存が難しい症例に対し,術前や術後,術中に照射を行うことにより,腫瘍を縮小させ,温存を可能にさせることです。
すなわち,腫瘍が大きすぎたり,完全に切除することが困難な場所に発生した腫瘍に対する補助療法として使用されています。
また,根治が難しいケースでも,疼痛や麻痺等の症状緩和目的で,放射線治療を行います。疼痛に関しては約70〜80%のケースで症状の緩和が得られています。
さらに高年齢であったり,全身状態がよくなかったり,合併症などを発症して,広範切除術などの手術が困難な場合にも放射線療法がおこなわれています。
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骨・軟部腫瘍に効果的な密封放射線療法で実績をあげている広島大学
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放射線治療の一つである密封放射線療法で,この患肢温存療法を積極的におこなってきた医療機関の一つが広島大学です。
広島大学では密封小線源治療により,軟部肉腫で切断しなければならない症例が大幅に減少したと報告しています。
また,この密封小源源治療では,入院期間が短くてすむというメリットもあります。
普通の体外照射なら退院後,5週間は通院しなければなりませんがこの密封小線源治療なら,手術後の放射線療法は,わずか5日間の入院で済みます。
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骨・軟部腫瘍の放射線の副作用
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早期にみられる副作用としては,皮膚炎や手術の傷跡の治癒の遅れなどがみられます。
また,骨部に40Gy以上の照射をおこなった場合,治療後半年以上経過してから骨粗鬆症が起こることがあります。
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