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肺がんでは定位放射線療法の確立により効果も向上
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肺がんはすべてのがんの中で国内の死亡者数ではトップです。かつては胃がんがトップでしたが,1998年ごろを境に逆転しています。
男女別にみてみると,男性では第1位,女性では第2位です
現在,患者数ではまだ胃がんが第1位ですが,やがて患者数でも肺がんが第1位になると予想されています。
肺がんの原因は,まだ十分には解明されていませんが,喫煙の影響が最も大きいといわれています。
肺がんはその細胞の大きさにより,小細胞肺がんと非小細胞肺がんとに分けられます。
非小細胞肺がんは,さらに腺がん,扁平上皮がん,大細胞がん,などの組織型に分類されますが,それぞれ性質が異なるため,治療法も異なってきます。
近年の,がん病巣に集中して放射線を照射できる定位放射線治療法の照射技術の確立により,肺がんにも有効となり,治療に取り入れられるようになってきています。
最近では化学療法と併用されることが多く,化学放射線療法として,効果を上げています。
小細胞がんは化学療法の効果が大きいがんでもあり,抗がん剤使用が基本となります。
一方で,放射線の効果も大きく,腫瘍が片肺と,付近のリンパ節にのみとどまっている限局型の小細胞がんには放射線療法と抗がん剤が併用されます。
また,非小細胞肺がんでは,手術が困難な3期や4期の患者を対象に行われることが多く,4期では転移による痛みの疼痛緩和を目的に行われる場合もあります。
現在では,プラスチックのチューブに放射性物質を入れ,がん病巣のある気管支に挿入する腔内照射も行われ,この方法では,副作用が軽いといわれています。
また,サイバーナイフ,ノバリス,ライナックなど最新治療機器によるピンポイント照射は肺がんの治療にも有効であり,特にトモセラピーの登場により,従来は治療が難しいとされていた多発性肺がんなどの放射線療法も可能となりました。
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非小細胞肺がん
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非小細胞肺がんの病時期と治療法
ステージT・U |
手術が第一選択,または放射線療法 |
ステージIIIA |
縦隔リンパ節に転移がない症例は手術 |
縦隔リンパ節に転移がある症例は,抗がん剤+手術,または抗がん剤+放射線療法 |
ステージIIIB |
抗がん剤 放射線療法
胸水がある場合は抗がん剤 |
ステージIV |
抗がん剤や放射線療法 |
病期T期・U期は外科手術が第一選択ですが,肺機能が低下していたり,他の疾患を併発している場合もあり,そのような場合は放射線治療が選択される場合もあります。
病期VA期・VB期では,全身状態の良い小細胞肺癌に対しては,化学放射線療法が標準治療となっています。
ただし,70歳を超える患者では,通常の放射線治療単独が最も治療成績がよいと,報告されています。
病期W期では,症状緩和や延命を目的として抗がん剤が中心ですが,放射線が使用されることもあります。
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小細胞肺がん
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小細胞肺がんは,肺がんのなかでもっとも進行が速く,悪性度が高いがんです。
発見された時には,リンパ節転移を起こしているケースが多く,早い時期から他の臓器への転移が起きやすいがんです。
したがって,発見された時点で,手術が不能という場合も多く,放射線治療や抗がん剤が効きやすいがんでもあることから,これらが単独で,あるいは併用する治療法が標準治療となっています。
小細胞肺がんは,腫瘍が片肺と,付近のリンパ節にのみとどまっている限局型と,腫瘍が肺の外部にまで広がり,他の臓器にまで遠隔転移している進展型とがあります。
放射線治療で根治が期待できるのは,この限局型ですが,進展型であっても抗がん剤治療によって,遠隔転移した臓器の腫瘍が消失した場合,放射線による根治が期待できます。
肺門部にできた小細胞肺がんは,リンパ節転移を起こしやすいため,予防的に肺門部と縦隔部に照射を行います。
一方,肺野部のがんは,予防的照射では照射範囲が広くなりすぎ,正常組織にも影響を与えるので,予防照射をしない場合もあります。
また,小細胞肺がんは脳に転移するケースが多く,原発巣への照射による治療が終了した後に全脳照射が,転移を予防する目的でおこなわれる場合があります。
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肺がんの放射線療法の副作用
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両肺の中央部には,食道があります。この食道に放射線が照射されると,胸焼けを感じたり,重くなると物を飲み込む時に,痛みを感じることもあります。
これは,一時的なもので,特に心配はいりません。
治療後2〜3ヶ月後に,せきやたんがでたり,呼吸が苦しくなる肺炎は,放ってお生命の危険にさらされますので,これらの症状がでたら,すぐに医師に相談しましょう。
また,化学放射線療法は,副作用が強くなりがちなので注意が必要です。
心障害がみられる場合もあり,特にパクリタキセルやドセタキセルなどの抗がん剤を化学放射線療法で併用した場合起こりやすいといわれています。
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肺がんの陽子線治療,重粒子線治療
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腫瘍内部で最大のエネルギーを放出し,正常組織へ影響が少ない陽子線治療や重粒子線治療は,付近に食道や心臓などの重要な臓器がある肺がんの治療にも向いているといえるでしょう。
陽子線線治療は,まだ施設や症例も少ないという実態がありますが,病期3期でも根治したというケースも報告されています。
以下に陽子線・重粒子線の実施施設と適応できる肺がんの種類を紹介します。
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