頭部照射の副作用 

   
                                               
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脱毛

 
 
放射線治療で頭部に照射した場合,その部位の皮膚が皮膚炎をおこし,さらに毛根まで影響が及ぶと,毛髪をつくる毛母細胞を破壊します。

そして,通常治療を開始してから1〜3週間後から,脱毛がはじまります。

この脱毛は,照射した部位にのみに起こります。頭部全体に照射するという全脳照射という場合は,頭部全体から抜け落ちますが,ピンポイント照射では,その部分だけ,円形脱毛のように抜け落ちます。

この脱毛は一過性のものであり,大量の放射線が照射されない限り,治療終了後,数ヶ月で生え始め,半年~1年でもとにもどります。

この脱毛は特に女性にとって精神的なダメージを受けます。脱毛部はバンダナなどでカバーできますし,全脱毛が予想される場合はウィッグを用意しておいてもよいでしょう。

また頭皮を清潔に保つと共に,ベビー用のシャンプーを使用したり,くしやブラシの使用はできるだけ控え,頭皮に刺激を与えないよう注意しましょう。


 
 

脳浮腫・頭蓋内圧亢進(頭痛・吐き気・嘔吐)

 
 
脳腫瘍の放射線治療により,頭部に放射線が照射されると,脳内の微少な血管が影響を受け,浮腫と炎症が起こります。

その結果,脳がはれることで圧迫され,頭痛・吐き気・嘔吐などの症状がみられることがあります。これを頭蓋内亢進症状と呼んでいます。

この頭蓋内亢進症状は,治療とは別に脳腫瘍の肥大化によっても,引き起こされます。

特に,転移性脳腫瘍では,治療前にすでに脳圧が亢進している場合が多く,放射線治療の初期の段階では,さらに症状が悪化する場合もあります。

このような場合には,ステロイド剤や利尿剤を投与し,炎症や内圧を抑えながら治療を続ける場合もあります。

このような頭蓋内亢進症状は一過性のものであり,心配はいりませんが,まれに血流障害が起こると脳壊死に,浮腫による影響で繊維化が進むと脳萎縮になる場合があります。


 
 

知覚異常(目・耳・鼻の異常)

 
 

頭部への照射は,目・耳・鼻などの知覚器官にも影響を与えます。

目は一時的に炎症を起こして,充血することもあります。このような時は目を休め,紫外線などに当たらないように注意することが大切です。

晩期の副作用として白内障や視力が低下する放射線網膜症が起こることもあります。

また,放射線が耳の感覚器に照射されると,耳管が狭くなり,耳がつまった感じや圧迫感,耳鳴りなどがあらわれることがあります。

このような症状のほとんどは一時的なもので,治療の終了と共に解消されますが,長期間放置しておくと,難治性の慢性中耳炎へ進展する場合もあり,注意が必要です。

鼻への影響に関しては,鼻づまり,鼻の乾燥,鼻血などの症状がみられる他,嗅覚障害が起こり,においが感じられなくなることもあります。



 
 

下垂体機能低下(ホルモン分泌低下)

 
 
脳の下垂体は多くのホルモンを分泌しています。この組織が放射線の影響によりダメージを受け,ホルモンが十分に分泌されないようになることもあります。

たとえば,成長ホルモンが分泌されないと子供の身長が伸びなくなったり,性腺刺激ホルモンが分泌されなくなると,無月経,勃起障害などがみられます。

これらの症状は,晩発性であり,多くが,治療後数年から経て起こります。

対策としては,ホルモン補充療法で治療します。




   
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