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放射線宿酔(倦怠感・食欲不振・吐き気) |
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放射線宿酔の「宿酔」とは「二日酔い」という意味があり,照射後に二日酔いに似た症状があらわれることがあり,このように呼ばれています。
放射線線宿酔は放射線療法の副作用としては,あまり頻度は多くはありません。
放射線宿酔の原因は,はっきりとは解明されていませんが,照射により,正常細胞がダメージを受け,そのときに産生される老廃物やアレルギー反応による影響ではないかと考えられています。
放射線宿酔の症状としては,倦怠感や,食欲不振,吐き気やめまいがするなどの症状があります。
ただし,このような症状には,放射線療法や病気に対する患者の不安やストレスなども影響します。
この症状の程度や時期には個人差がありますが,通常は,放射線治療をはじめてから数日の間に起こることが多いようです。
また,放射線宿酔の強さや頻度は,放射線治療が行われる部位によっても,異なってきます。
この放射線宿酔は,一過性のものなので,特に心配はいりません。ほとんどの場合,治療終了後,1〜2週間で解消します。
放射線宿酔は肉体的疲労や心理的なストレスの影響もありますので,休息や睡眠を十分にとり,疲労を回復させると共に,気分転換の工夫や,軽い運動などによってストレスをためないようにしましょう。
食事では,無理にたくさん食べようとすると,かえってストレスになります。1回の食事量を減らし,食事の回数を増やし,脂肪の多いものや消化の悪い物は控えましょう。
また,水分をしっかりと摂取し,脱水の予防や老廃物の排出をこころがけることも大切です。
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骨髄抑制(感染症・貧血・出血) |
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骨髄抑制とは,骨髄に放射線が照射されることにより,骨髄に存在する造血組織が破壊され,白血球,赤血球,血小板が大幅に減少してしまうことです。
この骨髄抑制は抗がん剤治療でもよくみられるもので,骨髄は細胞分裂が激しく,抗がん剤や放射線の影響を受けやすいのです。
白血球減少は免疫力低下を招き,感染症にかかりやすくなります。また,赤血球減少よって貧血になったり,血小板減少によって出血が起こりやすくなります。
放射線治療ではできるだけ,骨髄への照射を避けるように工夫していますが,部位や照射量によってはこのような症状が一時的にあらわれることがあります。
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白血球減少(感染症) |
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骨髄で産生される白血球は免疫細胞でもあり,リンパ球,顆粒球,マクロファージから構成されています。
これらの細胞は体内に侵入した細菌やウィルスに攻撃し,死滅させるはたらきをもっています。
したがって,放射線治療により,骨髄がダメージを受けるとこれら免疫細胞の減少により,感染症にかかりやすくなります。
この白血球減少と,血液中の白血球数が減少し,4000/μL以下になった状態をいい,500/μL以下になると,重篤な症状にもつながります。
症状として,感染部位のはれや痛み,さらには発熱,悪寒などの症状がみられます。
このような症状があらわれたら,すぐに医師に報告しましょう。
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赤血球減少(貧血) |
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副作用による骨髄抑制により,骨髄で産生される赤血球も減少します。
赤血球の中のヘモグロビンは,酸素の供給を細胞におこなっており,赤血球が減少すると,酸素不足となり,貧血となります。
この赤血球の減少による症状は,軽度の場合,皮膚や唇,まぶたの裏側が白くなる程度で,自覚症状がない場合もあります。
しかし,さらに進行すると,動悸や息切れ,頭痛,めまい,耳鳴り,倦怠感があらわれます。
これらの症状は,通常治療を始めてから,数週間から数ヶ月後にあらわれます。
ただし,ほとんどが一過性のものであり,骨髄の機能が回復すれば,症状もなくなります。
ヘモグロビン値が8g/dL未満になってしまうと,動悸,息切れなどの症状が,みられるようになるため,赤血球輸血がおこなわれます。
また,赤血球の産生にはビタミンB12とその吸収を助けるタンパク質が必要で,これらを多く含む食品の摂取をこころがけましょう。
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血小板減少(出血) |
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骨髄抑制により,血小板も減少します。この血小板は血液を凝固させ,出血を抑えるはたらきがあります。
したがって,この血小板の減少により,体の様々な部位からの出血のリスクが高まります。
血小板の減少が起こり始めるのは,放射線治療を始めてから,2週間後といわれています。
この血小板減少により,歯ぐきや鼻腔粘膜,皮下からの出血がみられるようになります。
注意しなければならない点は,呼吸器や消化管など,目にみえない部位からの出血も起こるということで,症状が重くなると脳内出血のリスクも高まります。
したがって,血液検査で,血小板の数値を知り,注意していましょう。
また,日常生活では,柔らかい歯ブラシを使ったりするなど,からだに傷をつけないように注意しましょう。
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放射線皮膚炎 |
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放射線は,腫瘍部まで届く前に皮膚を通過しなければりません。そこで,放射線の影響で,皮膚が赤くなったり,乾燥したり,かゆくなったりします。
ときには,照射された皮膚が熱を持ったり,かゆみを感じるなど,日焼けに似た症状があらわれます。これが放射性皮膚炎です。
また,毛が抜けたり,汗が出にくくなったりもし,治療後皮膚が黒ずむこともあります。
これらの症状は一過性のもので,治療開始から約二週間であらわれ,放射線治療終了後二〜四週間で自然に治癒していきます。
以前はこの放射線皮膚炎は,技術が進歩していなかったため,皮膚に潰瘍などが生じることもあり,問題とされていました。
しかし,現在では,多方向から照射する技術が確立し,皮膚へのダメージも大幅に軽減し,潰瘍やびらんなどが見られることはほとんどなくなりました。
ただし,治療後も皮膚炎の症状が長く続く場合は,抗がん剤との併用が原因に
なっていることもあります。
この放射線皮膚炎の副作用の対策として,照射した皮膚への刺激はできるだけ避けるように工夫することが大切です。
たとえば,衣服は締めつけないことや下着などでこすれないようにしましょう。
また,入浴時には刺激の少ない石けんを使用し,照射部位はできるだけ直射日光に当たらないよう注意しましょう。
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