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放射性肺炎・放射線肺繊維症
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肺の正常な組織に放射線が照射されると,肺の組織が炎症を起こし,肺炎となることがあります。これが放射性肺炎です。
さらに進行すると肺の結合組織である肺間質が繊維化してしまう場合もあり,放射線肺繊維症とよばれています。
この放射線肺炎は,抗がん剤を併用したり,過去に照射した部位に再照射されると,発症するリスクが高くなります。
照射範囲が狭く限定的な場合は,軽い咳がみられる程度で,自覚症状がないことも多く,自然に治癒します。
しかし,放射線療法の照射範囲が広く,線量も多かった場合や細菌感染も起こったりすると,重症化して,咳や発熱,息切れ,呼吸困難などの症状を引き起こすおそれがあり,生命に関わることもあります。
このような症状は,治療終了後3ヶ月以降に起こる場合が多く,当初は風邪の症状と勘違いし,見過ごしてしまうことも多いので,十分に注意しましょう。
対策としては,早期に発見し,早期に治療することが大切で,咳などが続くようでしたら,すぐに医師に報告しましょう。
早期の場合には,ステロイド剤の内服により治療します。
感染症が出てしまった場合には,抗生剤や咳止めなどが処方される場合もあります。
感染症は症状を悪化させてしまうので,手洗いやうがいをかかさず,十分な睡眠や栄養補給をおこない,体力,免疫力が低下しないよう注意することが大切です。
また,禁煙は必須で,部屋の換気にも注意しましょう。
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食道粘膜炎(胸焼け・嚥下痛)
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食道炎は放射線治療の副作用の中でもくよくみられる症状であり,食道が放射線の影響で炎症を起こすため起こります。
この放射線性食道炎は治療開始から2~3週間でおこり,この食道炎になると,胸やけが感じられるようになります。
さらには,つばをのみこむ時に痛みが感じられるようになり,食べ物がしみる感じやつかえる感じなどがしてきます。
この症状は抗がん剤を併用する化学放射線治療をおこなうとさらに症状が重くなるといわれています。
この食道炎は急性の症状であり,治療終了後,2~3週間でおさまります。
しかし,この食道も高い線量を受けてしまうと,粘膜が萎縮し,晩期では繊維化し,食道狭窄が起き,手術が必要となることもあります。
症状がでた場合,熱い食べ物や辛い食べ物など刺激するものは避け,味の薄いやわらかいものを食べるようにしましょう。
また,喫煙やアルコールも避け,こまめにうがいをして,口内を清潔に保ち,細菌感染が広がらないように注意しましょう。
症状をやわらげる痛み止め薬や粘膜保護剤などを服用することである程度は抑えることができます。
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放射線脊髄症(手足のまひ・しびれ)
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放射線治療により,脊髄に多くの放射線が照射された場合,半年~1年後に,手足のまひやしびれ,歩行困難などがみられることがあります。
これは,脊髄の神経が放射線により,変性したり,壊死したりすることで起こります。
この症状に対する有効な治療法はなく,脊髄にできるだけ照射をしない工夫が必要です。
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心外膜炎(せき・息切れ・脱力感) |
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心臓に放射線が照射された場合,心臓の外膜が炎症を起こし,心臓の周囲に液体がたまる心外膜炎がおこることがあります。
この液体の量が多いと心臓が広がることができず,心不全になることがあります。
この心外膜炎の症状としては,発熱,脱力感,咳やたん,息切れなどがあります。
この心外膜炎は治療終了後3ヶ月以上経てから起こる晩発性の放射線障害であり,頻度は少ないといわれていますが,抗がん剤との併用では,発症率も高くなります。
安静をこころがけると共に,心臓の周囲にたまった体液を抜き取るなどの入院治療が必要となります。
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リンパ浮腫(腕のむくみ)
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リンパ管は,たいへん薄い膜で構成されており,放射線治療の影響で損傷しやすく,それがリンパ液の流れを滞らせ,リンパ浮腫(むくみ)となってあらわれることがあります。
特に,乳がんの治療では,再発予防を目的とした術後照射で,わきの下のリンパ節がダメージを受け,腕のむくみが起こることがあります。
リンパ液の流れの停滞により,倦怠感や重苦しさを感じることもあります。
この腕のむくみは手術によるわきの下のリンパ節郭清によっても,起こりますが,放射線の影響でさらに悪化することもあります。
このリンパ浮腫の発生時期は個人差が大きく,治療後すぐに起こる場合もあれば,10年以上経て起こる場合もあります。
リンパ浮腫にはリンパドレナージと呼ばれるマッサージが有効とされていますが,自己流でおこなわず,専門医を受診しましょう。
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